遠い昔、それはまだ神々と精霊と魔法とが広く繁栄していた頃のこと。

人々は大きく三つに別れていました。

一つは、風を操る能力に長け、天上を支配していた『魔人』。

一つは、土を操る能力に長け、地上を支配していた『鬼人』。

そしてもう一つ・・・
人には、魔人に生まれながら風を操れない者。
鬼人に生まれながら土を操れない者がごくまれに生まれました。

魔人も鬼人も、その人達を、自分達とは違う生き物だと忌み嫌いました。

そして、人でありながら人に成り切れぬ者
魔人と鬼人との間に生まれし者
と、その者達を厭味を込めて『人間』と呼ぶようになりました。

魔人と鬼人は、何の力も持たない人間を迫害し、侵略し、様々な辺境の地へと追いやりました。

人間は一向に生まれ続けました。

ある時から、魔人も鬼人も互いに
人間が生まれてしまうのは相手の人種のせいなのでは
と考える人が出始めたのです。

最初は些細な小競り合いがあっただけでしたが、時がたつにつれ、その争いは大きなものへとなり、ついに魔人と鬼人とで戦争が始まってしまいました。

戦争は長く続きました。
ドロ沼と化し、もはや誰が何の為に戦っているのかすら解らない状態にまでなりました。

相手の種族に付き、同族と戦う者。
自分の種族を隠し、人間として暮らす者。
戦いの為に人間にまで協力を求める者。
その協力を承諾し戦火に身を投じる者。

そんな時代が何年も何年も続き、世界は混乱を極め、終わることのない戦争となってしまいました。

物語はここから始まります。

ある孤児院にいる村の青年のお話。
世界の終わりを記した物語。
誰もしらない『人間』の神話。


世界の端っこ、小さな山々に囲まれた小さな村の孤児院に彼はいた。
その日もいつものように一日が始まったはずだった・・・